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世界で所得格差の拡大が加速… 年収180万円の日本人が激増するわけとは?

AIにより頭脳労働や熟練労働が消え、世の中は“マックジョブ化”する!?

 

「21世紀の社会では世の中の仕事は頭脳労働とマックジョブに二極化する」

これは、クリントン政権で労働長官を務めたロバート・ライシュ氏が2000年代に予言したものです。

マックジョブとは、マクドナルドの仕事のような、マニュアルに従えば誰にでも同じようにできる仕事のことをいいます。

当時のクリントン政権下では、光ファイバーを用いた高速通信網を整備し、家庭から公共施設、企業、政府までを広範に結ぶ「情報スーパーハイウェイ構想」が進められていました。

ライシュ氏はその先に、ICT(情報通信技術)によって多くの仕事がマックジョブ化する未来を予想したのです。

 

 

 

AI(人工知能)の進化によって頭脳労働にもマックジョブ化が進む未来

 

ライシュ氏は、ICTの進歩によってマックジョブ化された単純労働者の報酬が下がり、弁護士や会計士など、高度な知識や技能を必要とする頭脳労働者との所得格差が拡大すると予想しました。

しかし、AIはこの予想の前提を変えるほどの進化を遂げます。それが、深層学習(ディープラーニング)を行うAIの登場です。深層学習とは、人間が自然に行うタスクをコンピュータに学習させる機械学習の手法をいいます。

これにより、従来コンピューターには難しいとされていた専門領域の頭脳労働を、人間よりも正確、かつスピーディーにこなせるようになってきているのです。

すでに金融機関の仕事はフィンテックによって、一般事務職はRPA(Robotic Process Automation)によって、運転手の仕事は自動運転技術に代替され始めています。

弁護士や会計士など、頭脳労働者の仕事も例外ではありません。むしろ、給与水準の高い仕事をAIが行ったほうが費用対効果は高く、より早い時期に代替されていくと考えられます。

 

 

仕事自体は残っても収入は減少する可能性が高い

 

ライシュ氏は、仕事が頭脳労働とマックジョブに二極化され、所得格差が生まれると予想しました。しかし、AIの進化によって、これまで安泰と考えられていた頭脳労働者の地位まで脅かされているのが現状です。

しかし、労働政策の観点からは、AIによる失業を回避し、雇用を維持するための対策が取られるものと予想されます。

例えば、トラック運転手やタクシー運転手など、運転を仕事にしている人は2021年度時点で約119万人(※1)。自動運転技術の進歩によって完全自動運転車が実用化され、その多くが失業すれば、社会不安を引き起こし、経済全体にとっても大きなマイナスになるでしょう。

 

このような事態を避けるため、政府は完全自動運転車の本格導入に先立ち、雇用を維持するための法整備を行うでしょう。例えば、営業車に管理者の乗車を法律で義務付け、「管理者」としての雇用を確保するといった具合です。

AIに代替される可能性のある他の職種についても同じことがいえます。これまで人間が行っていた仕事自体はコンピュータやAIに代替されても、関与が義務付けられた管理者や資格者としての新たな仕事が生み出されるのです。

人手不足は多くの業界で深刻な問題であり、AIによる業務効率化は歓迎されるべきものでしょう。しかし、現在その仕事に就いている人には、収入の減少という新たな問題が待ち構えています。

例えば長距離トラックの運転手は、大型免許や熟練した運転技術が必要、拘束時間が長いといった理由からなり手が限られ、現在は比較的給料水準の高い仕事です。しかし、完全自動運転車が実用化され、基本的に運転席に座っているだけの仕事になれば、より多くの人が流れ込んでくるでしょう。その結果、給与水準は下がっていきます。

 

※1出所:2021年度労働力調査(総務省)・道路運送業(旅客・貨物)の運転従事者数

 

 

多くの仕事はマックジョブ化し中流階級が消えていく

 

 

 

現在は給与水準の高い専門性や熟練の技術が必要な仕事も、AIによる代替が進むにつれてマックジョブ化し、低賃金で非正規労働者が担う仕事になる可能性があるのです。

このような流れの中で、世界全体では、いわゆる「中流階級」が消滅するといわれています。

民間給与実態統計調査によると、2021年時点での日本の正規雇用者の平均年収は496万円、一方で非正規雇用者雇用者の平均年収は176万円です(※2)。

今は正規雇用者の平均500万円以上の年収を得られている仕事も、マックジョブになれば非正規雇用の平均である年収180万円程度の仕事になってもおかしくなりません。

AIの導入で人件費を減らせれば、労働者を雇用する側の資本家にとっては大きなメリットです。

しかし、頭脳労働者や正社員が担っていた仕事はなくなり、資本家とマックジョブをこなす多数の下流層への二極化はますます深刻になっていくでしょう。

 

※2出所:令和2年分民間給与実態統計調査(国税庁)

 

 

この流れに飲み込まれないためになにができるのか

 

この流れに飲み込まれないために私たちは何ができるのでしょうか。それには次の2つの方法が考えられます。

 

一つ目は、AIにできない仕事、AIの普及で新たに生まれる仕事に就く方法です。

現時点でAIにできない仕事の例としては、次のような仕事があります。

  • 高度なコミュニケーションを必要とする仕事(例:営業職、介護職、カウンセラーなど)
  • クリエーター職(画家、作家、デザイナーなど)
  • AIを開発・操作する仕事(エンジニアなど)

 

現在は人が行っている仕事のうち、AIにできる仕事はAIに任せ、人にしかできない仕事に集中すれば業務効率を高められます。これができる人であれば収入アップも期待できるでしょう。

また、AIの普及によって新たに生まれる仕事としては、例えばAIの導入や運用・管理・保守に関連した仕事などがあります。

とはいえ、仕事には向き不向きがあり、誰でも上記のような仕事に就けるとは限りません。そこで考えられるのが、資本家になる方法です。

 

資本家になるといっても、そんなお金や事業のアイデアはない、そう思う方もいるでしょう。しかし、自分で一から起業するだけが資本家になる方法ではありません。株式会社が発行している株式は、その企業を保有する権利であり、株を買えばその企業のオーナー(=出資者)、つまり資本家になれるのです。

 

世界で事業を展開するグローバル企業の株を買えば、日本にいながら企業が世界で稼ぐ利益の一部を受け取ることができます。

資本家と労働者の間で所得格差が拡大していくと予想される中では、投資を通じて資本家側の恩恵を享受できる状態をつくっていくことがより重要だといえるでしょう。

 

 

 

 

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