新しく保険に加入すると、保険会社から契約の証明として保険証券が発行されます。
この保険証券には、どんなときにいくら、誰が保険金・給付金を受け取れるのかといった重要な内容が記載されています。
しかし、保険証券の見方がよくわからないまま保管している人は少なくありません。
そこで今回は、保険証券の見方をわかりやすく解説します。この機会にご自身の保険証券を引っ張り出し、内容を確認してみてください。
保険証券には加入している保険の情報が集約されている
保険契約の成立後、保険会社から発行される書類を「保険証券」と言います。
保険証券には加入している保険の情報が集約されているため、契約直後だけではなく、定期的に現在の加入内容を振り返ることが大切です。
生命保険会社から送られる保険証券は紙の書類がほとんどですが、近年はペーパーレス化の一環により、電子タイプの保険証券も増えています。
電子タイプの保険証券は、PDFなどにデジタル化された保険証券をWeb上で確認・印刷できるものが主流です。
紙の保険証券が手元に届かない、届いていないという人は、申込時に保険証券を電子タイプにすることを承諾している可能性があります。手元に保険証券がない方は、契約中の保険会社に確認してみるといいでしょう。
保険証券は保険の見直しに役立つだけではなく、万が一契約者や被保険者に何かあったときに、第三者が契約の事実を証明できる書類として機能します。
保険金・給付金の請求漏れを防ぐ重要な書類になるため、記載内容をしっかり確認しつつ、取扱いには気をつけるようにしてください。
次は、保険証券の内容を見ていきましょう。
保険証券に書かれている内容をチェックしよう:
保険会社によって保険証券の形式は異なりますが、一般的には以下の項目が記載されています。
【証券番号】
契約ごとに割り当てられる番号です。
保険会社への問合せ時や請求時など、各種手続きの際に必要になるため必ず控えておきましょう。
【基本情報:契約に関わっている人は「誰」か?】
- 保険契約者名:保険会社と保険契約を結んでいる人
- 被保険者名:保険契約の対象になっている人
- 受取人名:保険金・給付金などを受け取れる人
- 保険料内訳:契約者が保障を得る対価として保険会社に支払うお金のこと。主契約の保障にかかっている「主契約保険料」と特約の保障にかかっている「特約保険料」で構成される
【A:保険契約は「いつからいつまで」続くのか】
- 契約日(始期):契約開始の基準となる日
- 保険期間:主契約の保障期間。「終身」とは一生涯保障があること
- 保険料払込期間:主契約の保険料を払い込む期間と最終保険料の払込時期
【C:保険契約の継続に必要なお金は「いくら払う」か】
保険料払込方法:月払い・半年払い・年払い・一時払いなどの払い込み方法
【B:保険事故が起きたときに保険金・給付金は「いくら受け取れる」のか】
- 主契約:保険契約の基本部分の保障内容。保険金・給付金など万が一のときに受け取れるお金が記載されている
- ~⑥ 特約:保険契約のオプション(特約)部分の保障内容。特約のみでは契約できないが、主契約を残して特約のみ解約することは可能※保険会社によって取扱いが異なるので要確認
【その他内容欄】
- 指定代理請求人:被保険者が保険金・給付金を請求できない事情があるとき、代わりに請求できる権利を持つ人
- その他、契約に際し特記すべき内容が記載されている
【解約金について】
契約してからの解約返戻金の推移が記載されている。
「1年目」は契約日から1年経過時点で解約した場合に受け取れる解約返戻金を指す
まずは保障内容を確認したい!という方は、上記「B」の契約内容を確認しましょう。記載されている保険金額・給付金が、この保険でいくら受け取れるのかを示すものです。
保険金請求時だけじゃない!保険証券が必要になるとき
保険証券は保険金・給付金の請求時に必要ですが、契約内容の確認・変更・解約時の手続きでも必要になります。
特に手続きが必要になるのは、結婚や出産、離婚、引っ越しといったライフイベントの発生時期です。
結婚して名字が変われば名義変更の手続きが必要ですし、受取人を親から配偶者に変更するときにも手続きは必要です。
引っ越しに伴い住所や電話番号が変わったときも、それぞれの変更手続きをしなければなりません。
このように、各種手続きなどで保険証券が必要になる場面は意外とあります。
何かあったときにすぐ取り出せるよう、保険証券の保管には気をつけておきましょう。
保管時の注意点は、以下の3つです。
保管時の注意点1:紙の保険証券はデジタルデータにしておくこと:
紙の保険証券は、紛失や破損に備えてデジタルデータにしておきましょう。
スマホのカメラで保険証券を撮影するか、スキャナーでスキャンして画像・PDFなどにしてクラウド上に保存しておくと安心です。
もちろん、保険証券は保険会社に依頼すれば再発行できます。
ただし、再発行には時間がかかるため、突発的な災害や事故ですぐに保険証券を確認したいとき、手元になければ請求手続きに時間がかかってしまいます。
紙の場合、保管に気をつけていても火災や洪水によって破損・紛失する可能性はゼロではありません。
トラブルや事故に備えて、デジタルデータでクラウド上に保存しておくことをおすすめします。
保管時の注意点2:保管場所を家族や関係者と共有しておこう:
デジタル化した保険証券でも、紙の保険証券でも、保管場所を忘れてしまえば肝心なときに取り出せません。
そのため、保管場所を決めた後は家族や受取人など保険の関係者と共有しておくことが大切です。
たとえ自身が契約者・被保険者・受取人になっている医療保険の契約であっても、第三者への共有は必要です。仮に自分が突発的な事故に巻き込まれて寝たきり状態になってしまえば、せっかく医療保険に加入していても保険金・給付金の請求ができません。
自身が請求できない状態になったときのことも考え、家族や信頼できる人を指定代理請求人として指定したうえで、保険証券の保管場所や保管データを共有しておくと安心です。
保管時の注意点3:定期的に内容を確認しよう:
保険証券は、「届いたときに一度確認したっきり」という人が少なくありません。
しかし、時間が経つと細かい契約内容は忘れてしまいがちです。保険金の請求漏れや保険証券の紛失を防ぐためにも、保険証券は定期的に取り出して内容を確認しておきましょう。
家族と一緒に確認するようにすれば、家族間で保険の見直しについて考えたり、健康管理について話したりするきっかけになるのではないでしょうか。
まとめ
保険証券は契約を証明する重要な書類です。
万が一の際、スムーズに保険金・給付金を請求するためにも、手元にある保険証券を見直してみてください。
見直しの際は、ご家族と一緒に保障内容や保管場所について話し合うことをおすすめします。
他方で、保険証券を見るだけでは「実際に保険金を受け取る際の条件」はよくわかりませんよね。
しかし実は、家族であっても保険金や給付金を受け取れない事例があることをご存じでしょうか?
たとえば、保険加入者のご主人が交通事故でICU(集中治療室)に入院中、配偶者である妻が医療保険の請求をしても給付金を受け取れないことがあります。
せっかく保険に入っているのに、「これまで保険料を払い続けてきたのは何だったの?」と思いますよね。
このような事態を防ぐためにも、次の記事で保険金・給付金を受け取れない事例と解決策を解説しています。
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