GI値が高くても糖質が少なければ良い?そこで登場した考え方がGL値(グリセミックロード)です。
最近、「糖質制限」や「低GI食品」などという文字を、目にしたり耳にしたりすることが増えたように感じませんか。「糖質制限ダイエット」という言葉もありますし、ビールのCMなどでは「糖質オフ」という言葉も出てきます。これらはいずれも「食事に含まれる糖質の摂取の仕方に気を付けよう」という考え方が根底にあります。
しかし、普段の食事で「糖質」を本当に意識している人は、どれくらいいるでしょうか。糖質って何?食べなければ良いんでしょ?と思う方に、いまさら人には聞けない糖質の秘密についてお伝えします。
糖質とダイエットの関係
糖質を制限すると、余分な脂肪は体に蓄積されませんので、上手く制限していけばダイエットにもつながります。しかし、糖質を制限し過ぎるとどうなるでしょうか。確かに、脂肪が蓄積されることは無くなりますが、脳や体を動かすためのエネルギーも無くなってしまうので、仕事やスポーツ、元気に活動する力も無くなります。
また、糖質を制限し過ぎた状態で筋トレなどを行うと、エネルギーを確保するために筋肉が分解され、筋肉量が減少しますので、活動することが難しくなります。
やみくもに「糖質を制限すれば良い」というものでも無いのです。
そこで生まれた考え方が、GIです。
GI(グリセミックインデックス)とは?
GI(グリセミックインデックス:Glycemic Index)とは、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示すものです。糖質を多く含む標準食(ブドウ糖、白米、食パン)を食べてから2時間後までの血糖値の上昇を100とし、食品ごとにどの程度まで血糖値が上がるかを表しています。GI値が高いほど食後の血糖上昇率が高く、GI値が低いほど食後の血糖上昇率は低いことになります。
GIの考え方は、1990年代から脚光を浴び始め、世界各国でさまざまな研究が行われるようになりました。
2003年にはWHO(世界保健機関)から「低GI食品は、過体重、肥満、2型糖尿病の発症リスクを低減させる可能性がある」と公表されたことから、現代では肥満やメタボリックシンドローム、糖尿病などの予防として注目されています。
GI値は食品により違うことが分かっており
- GI値が70以上の食品を高GI食品
- GI値が56から69の食品を中GI食品
- GI値が55以下の食品を低GI食品
といいます。市販される「低GI食品」も、一般的にはGI値が55以下のものを指しています。
ここで注意していただきたいのは、GI値とはあくまでも「血糖値の上昇率」=糖(炭水化物)の質の違いを示すものであり、実際に食品に含まれる糖質の量は考慮していないということです。
GI値だけにこだわっても、必ずしも糖質を抑えられるわけではありません。
普段の食事の中で「この中には何gの糖(炭水化物)が入っているか」と考えることは無いでしょう。そこで、いくらGIが高くても、糖質が少なければ血糖値への影響は小さいのではないか? と考える人が出てきました。その結果導き出されたのが、GL(グリセミックロード)という考え方です。
GL(グリセミックロード)とは?
GL(グリセミックロード)とは、すでに導き出されているGI値に対し、その食品の標準摂取量当たりに含まれる糖(炭水化物)のグラム数を掛けて100で割ったものです。
つまり、ある食品を一食分食べた時に、どの程度血糖値が上昇するかを予測できるようになります。
たとえば、GI値が高いといわれるスイカに含まれる糖質は100gあたり9.5gですが、低GIであるバナナの糖質は100gあたり22.5gです。この2つでGL値を比較すると
- スイカ(生):GI値72×5g÷100=GL値およそ6.84
- バナナ(熟しすぎていないもの):GI値47×5g÷100=GL値およそ10.58
となります。同じグラム数を食べる場合、GL値でみるとスイカよりもバナナの方がわずかですが血糖上昇に関わることになります。
また、完熟バナナなど熟しきったバナナは、含まれる糖分量、GI値ともに高くなりますので、必ずしも高GI食品のスイカよりも、低GI食品のバナナの方が糖質を制限できるとか、食後の血糖値上昇を抑えられるというものでもありません。糖質とは、それほど単純なものでは無いのです。
糖質を食べなければ血糖が上がらず健康になる、は間違い?
ここまで、糖質制限、GI、GLという、糖に関する3つの考え方をお伝えしました。
ややこしいですが整理すると
- 糖質制限:食事の中の糖質そのものを減らそうという考え方
- GI値:血糖値が上昇しやすいかどうかに着目した考え方
- GL値:血糖値と糖質量に着目した考え方
です。いずれも「糖」に注目していますが、それぞれの糖に対する捉え方が違います。
糖分を摂りすぎることは良くないですが、糖は脳や体を動かす大事なエネルギーです。どのような食品からどれだけの糖をどのように摂るのが良いのか、考えていく必要があります。やみくもに糖質制限をするだけでは、体にとって「良い食べ方」とは言えない、ということです。
しかし、糖質制限だけではダメ、GI値もGL値もそんなに簡単に分かるものではない、ではどのようなものならば、体に良い食事になるのでしょうか。
過剰な糖質を抑える4つ目の方法は「食べ方」
近年では「いかに糖をゆっくり吸収していくか」という考え方も広がってきました。食べ方や食材に気を付けることで、血糖値の急な上昇を抑えていこうというものです。
1.食べる順番が大事
空腹時に糖質が多いものを食べると、血糖値が上昇しやすくなります。食事の際には、最初に食物繊維などが多い野菜類、次にたんぱく質が多い肉や魚を食べ、最後にご飯やパンなどの主食を食べる、という「食べる順番」にこだわってみましょう。
2.ゆっくり、よく噛んで食べる
食べることで「満腹」と感じるのは脳の満腹中枢が働くためですが、実際に満腹感を感じるまでには20分ほどかかるといわれています。急いで食べたときに「食べ過ぎた」と感じることも多いのではないでしょうか。
ゆっくりよく噛んで食べ、食べ過ぎる前に満腹中枢が働くようになると、食べ過ぎることなく消化もゆっくりになるため、糖質の吸収を落ちつかせることができます。
3.糖質の量だけではなく、質にも気を付ける
前述の通り、血糖値が上がりやすい食品と、そうでない食品があります。
同じ小麦製品であるパンでも、低GI・低GLとされているものに置き換えていくなど、血糖値が上がりにくいものを選んでいくと良いでしょう。
4.規則正しい食生活を
生活習慣の影響により、血糖値の上昇率も変わってくるといわれています。
たとえば低GI・低GL・低糖質食品でも、食事時間が不規則だったり、就寝直前に食べたりするような場合は、血糖値も上昇しやすくなります。食事は毎日同じ時間にするなど、生活リズムを整えていきましょう。
まとめ:年齢とともに基礎代謝も変化する
いかがでしょうか。糖質は体にとって必要な栄養素ですが、摂りすぎてしまうと、糖尿や肥満などの生活習慣病のリスクにもなります。GI値やGL値の考え方を踏まえながら、健康的な食事を考えていきましょう。前述の「4つ目の方法」を参考に、今日からでも「食べ方」に注目した食事にトライしてみましょう。
大事なのは、糖にだけ注目してやみくもに制限するのではなく、たんぱく質や脂肪、食物繊維やビタミン類などを、バランス良く食べることです。パンやご飯、デザートやスナック類ばかりではなく、食物繊維豊富な野菜やビタミン類豊富な果物なども大事な「食事」なのです。
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