現役世代の「私」のお金・健康に関するお役立ち情報

結婚しないと税金がかかる「独身税」とは?日本で導入される可能性はある?

将来の社会経済に深刻な影響を与えるとして、少子化が問題視されています。そこで少子化を解決するために「独身の人に独身税を導入して結婚を促進しよう」という意見が出ることがあります。 

 

しかし、独身税を導入しても少子化の解決とはならない可能性が高いでしょう。実は、過去に他の国が独身税を導入して失敗をしている事例があるのです。 

 

本記事では、少子化対策として他国で導入されていた独身税、日本で導入される可能性を解説します。 

独身者にかかる「独身税」って何?

 

独身税とは、その名の通り独身者に対して課せられる税金です。 

 

独身者に独身税が課せられるようになると、税負担を軽くするために結婚をしようとする人が増える可能性があります。その結果、出生率が上がって少子化の解消が期待できると考えられることから、独身税の導入を推進する人がいます。 

 

日本でもニュースやSNSなどでたびたび話題になることがある独身税ですが、導入に向けて具体的な議論が進んでいる様子はありません。議論が進まないのは、他国での失敗が理由の1つであると考えられます。 

過去にブルガリアで施行されていた独身税の内容と結果

東ヨーロッパのブルガリアでは、1968〜1989年まで実際に独身税が施行されたことがあります。

ブルガリアの独身税は、税率が5〜10%でした。仮に年収300万円である場合、15万〜30万円が独身税として徴収されることになります。

独身税を導入したことで、ブルガリアの出生率は上昇するどころか逆に低下してしまいました。これは、重い税負担によって独身者が結婚をするための貯蓄をできなくなったことが主な要因であると考えられます。

少子化を解消するどころか促進する結果となってしまったために、ブルガリアの独身税は実施から21年後の1989年に廃止されました。

独身税が日本で施行される可能性はある?

日本でも独身税が話題になったことがあります。事の発端は、2017年に石川県かほく市ママ課と財務省主計官の担当者で開かれた意見交換会です。意見交換会では、かほく市ママ課に参加する子育て中の主婦から「結婚し子育てをすると生活水準が下がるので、独身者にも負担を求められないか」といった提案がありました。

 

それに対して、当時の財務省主計官は「独身税の議論はあるが、進んでいない」と回答したとされています。このやりとりが地元紙に掲載されたことで、インターネットを中心に多くの批判が集まりました。

後にかほく市は「意見交換会の中で独身税が話題にはなったものの、市が国に対して提案するものではなかった」と説明しています。

独身税が日本で施行される可能性は低い

では、日本で独身税は施行されるのでしょうか。結論としては、その可能性は低いと考えられます。

 

まず、過去にブルガリアで独身税が導入されたとき、結婚資金を貯めにくくなったことでかえって出生率は低下しました。また、独身者に独身税が課されてしまうと、結婚をしないという選択がしにくくなり個人の自由が侵害される恐れがあります。

 

さらには、独身者と既婚者で対立が生じてしまうかもしれません。導入したとしても効果は期待できず、むしろ弊害のほうが多いと考えられることから、日本での独身税の導入は現実的ではないでしょう。

少子化対策は経済的な支援や環境の整備が重要

日本では、結婚や子育てをする人に対する経済的な支援や環境整備が効果的な少子化対策であると考えられています。結婚や出産、子育ての実現を阻むさまざまな要因によって、晩婚化の進行や未婚率の上昇が起きたことが少子化の主な要因であるためです。

 

結婚を阻む主な要因となっているのが「お金の不安」です。内閣府の調査によると、結婚生活を送るうえで不安に思うことを質問したところ、39歳以下の未婚の男女は「経済的に十分な生活ができるかどうか」と回答した人が50.1%ともっとも高い結果になりました。

 

また同調査によると、子どもを持つことを望んでいない理由のなかでもっとも多かったのは「経済的な成約が増える(34.4%)」です。これらの実態から、結婚や出産をする人を増やすためには、経済的な支援が不可欠であると考えられます。

 

経済的な理由だけでなく「職場の子育てに対する理解が得られない」「子育てをサポートしてくれる人が周りにいない」なども少子化の要因となっています。

職場の意識改革や保育・子育ての支援など、安心して結婚や子育てができるように環境を整備することも少子化対策においては重要でしょう。

 

まとめ

独身者に対する課税や家族世帯との税負担はたびたび議論になる問題です。

「独身者は家族世帯よりも損しているという」意見もありますが、はたして本当に「損」なのでしょうか。以下の記事では、独身者と家族世帯で異なる手取り額について解説しています。あわせて、参考にしていてください。

 

続けてご覧になっていただきたい記事はこちら:

「独身者は家族世帯より損」って本当?家族世帯より手取りが少なくなる理由を解説

 

 

 

 

この記事は役に立ちましたか?

もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。

関連記事