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【肝臓病】飲酒しない人も注意!新タイプの肝臓病「NASH」「NAFLD」とは?

 

皆さんはNASHやNAFLDという病気を聞いたことがありますか?

これらは飲酒歴がない、もしくは少ない方でも脂肪肝になってしまう病気です。

 

脂肪肝と言えば、従来「乱れた食生活」「過剰な飲酒」「乏しい運動習慣」などによって徐々に肝臓に脂肪が蓄積していく病気と認識されている方が多いのではないでしょうか?

 

しかし、近年ではNASHやNAFLDと呼ばれる脂肪肝が国内で増加傾向にあり、少なくとも成人100~200人に1人が罹患していると推定されており、悪い意味で注目度が増しているのです。

 

なぜ飲酒歴がないのに脂肪肝に進行してしまうのでしょうか?

また、NASHやNAFLDの違いについても含めて、本書では詳しく解説していきます。

<新しいタイプの脂肪肝、NASHNAFLDとは?>

 

 

脂肪肝は、アルコール性と非アルコール性の2つに分類されます。

アルコール性か非アルコール性かの基準はそれぞれの飲酒量によって規定されています。

 

アルコール性とされる飲酒量は、1日あたり純エタノールとして男性では30g以上、女性では20g以上であり、ビールなら750mL(大瓶1本強)、日本酒なら1合半、ワインはグラス2杯半、ウイスキーではダブルで1杯半に相当します。

これよりも飲酒量が少なければ、非アルコール性ということになります。

 

つまり基準以下のアルコール摂取にも関わらず脂肪肝に罹患した場合、非アルコール性脂肪性肝疾患(Nonalcoholic Fatty Liver Disease)、略してNAFLDとなります。

 

脂肪肝患者全体が約3000万人、そのうちNAFLD患者は国内に1000-2000万人ほどいると言われており、飲酒歴が無くても脂肪肝に罹患する人は増加傾向にあるのです。

 

NAFLDはさらに、単純な脂肪肝である「非アルコール性脂肪肝(Nonalcoholic Fatty Liver: NAFL)」と、肝臓の線維化が進んでしまうリスクの高い「非アルコール性脂肪性肝炎(Nonalcoholic Steatohepatitis: NASH)」に分類されます。

 

NAFLDのうち約80-90%はNAFLであり、脂肪肝のまま肝臓の病気はほとんど進行しません。

しかし、残りの役10-20%はNASHに進行してしまい、ウイルス性肝炎と比較しても肝臓の線維化のスピードが速く、発見した時には症状が進行している可能性が高いです。

NASHはその後、肝硬変や肝細胞ガンに罹患する可能性も高いため、注意が必要な病気です。

 

では、どのようにして自分がNASHであるかどうかを確認するのでしょうか?

 

<NASHの診断方法とは?>

 

 

まず、多くの患者は健康診断などで肝機能異常を指摘され医療機関を受診されます。

医療機関では、これまでの飲酒量を含めた様々な問診を行い、さらに血液検査や画像検査を行い肝臓に何が起きているのか実態を把握します。

 

問診の上では、過去の輸血歴、現在の内服薬、既往歴などを聞き、それぞれB型肝炎やC型肝炎、薬剤性肝炎、自己免疫性肝炎などの可能性を考えます。

その上で、画像検査の中でも腹部超音波検査を行い、肝臓の形態学的評価を行います。

 

超音波検査で脂肪肝以外の肝臓疾患を認めず、飲酒歴が基準に満たない場合にはNAFLDの診断に至ります。

その上で、NASHなのかNAFLなのかの診断をつけるためには肝生検と言われる侵襲的な検査が必要になります。

 

肝生検は、局所麻酔を行った腹部から針を刺して、超音波装置でガイドしながら肝臓の組織を採取する検査です。

侵襲的な検査であり基本的に入院を要するため、検査としてのハードルは決して低くありません。

 

<NASHは増えているって本当?>

 

 

NASHと診断される患者数は増加傾向にあります。

従来であれば脂肪肝と診断される人の最大の要因は飲酒でしたが、ここ20年近くでお酒を飲んでいないのに脂肪肝から肝硬変に進行し死に至る患者数が増え始め、NASHという疾患の概念が認知され始めました。

 

この原因の1つには、時代背景があると考えられます。

前述したように、脂肪肝になる最大の原因は飲酒ですが、それ以外にも「過剰なカロリー摂取」や「運動習慣の低下」が挙げられます。

 

ここ20年で我々日本人の食生活は大きく変化し、ステーキやパスタ、ピザ、チーズなど欧米化した食生活が中心となりつつあります。

豊かになった日本では必要以上の飽食が散見され、その結果「過剰なカロリー摂取」を招き、脂肪が肝臓に蓄積してしまう方が増加したのだと思われます。

 

飲酒量は少なくても、過剰なカロリー摂取によって体内に蓄積されたグルコースや脂肪酸は、ともに中性脂肪に変換され皮下や内臓に蓄積します。

日本人は体質的に皮下脂肪に蓄えられる中性脂肪の量が少ない民族であり、飽和して行き場を失った中性脂肪は肝臓にも蓄積してしまい脂肪肝になってしまうのです。

 

以上のことから、NASHを予防するために何をすべきかが見えてきます。

飲酒量がもともと少ない人であれば、気をつけるべきことは食生活と運動習慣です。

NASHの病態のベースには、肥満やメタボリック、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病があることが多く、7kg程度の減量によって改善することが期待されます。

 

つまり、適切な食事と運動で減量するということです。

NASHの厄介なところは、進行するまで症状が出にくいため、減量のモチベーションや必要性を継続しにくいという点です。

また、一度に7kgの減量は継続できない可能性が高いため、まずは5kg程度の減量を目標にしてみると継続できる可能性が高まります。

 

さらに、生活習慣病を合併している方は、それらの治療を適切に行うことで肝機能の改善が期待できます。

またビタミンEは抗酸化作用があり、NASHによる肝機能障害に良いとされます。

 

もちろんNASHに進行しないように予防することが重要ですが、もし仮にNASHに進行してしまった場合どうなってしまうのでしょうか?

 

肝臓は沈黙の臓器と言われ、よほど進行しない限り症状はほとんどありません。肝硬変の末期まで進行すると、腹水がたまり、目や顔が黄色くなる黄疸や、吐血、下血、意識障害などの症状が出てきますが、その時にはもう肝臓移植が必要なほど悪化していることもあります。

 

肝臓移植のためには肝臓を提供してくれるドナーが必要ですが、肝臓は元々再生能力が高く、たとえば外科手術で40%切除しても、残った60%が大きくなって再生します。

 

仮に肝臓移植の際、患者側の肝臓をすべて切除し、ドナーの肝臓の40%を移植したとします。

すると、ドナー側の肝臓は1年ぐらいで残った60%の肝臓が再生し、普通の生活ができるようになります。

逆にレシピエント側の患者に移植した40%の肝臓も、2~3年も経てばほぼ100%まで再生します。

 

以前はC型肝炎から肝硬変に移行する患者が多く、年間500例ほど肝臓移植を行っていましたが、C型肝炎の治療が進んだことや肝硬変になっても進行を抑えることができるようになったことで肝臓移植が必要になる患者は減少傾向にあります。

 

現在は国内で年間約200例が肝臓移植を受けているのが現状ですが、いまだに有効な治療法が確立されていないNASHが増加傾向にあるため、今後肝臓移植の需要が増していく可能性は高いです。

実際、今アメリカではNASHによる肝臓移植が増えています。

 

しかし、いざ肝臓移植となれば、高額な医療費、長期的な入院、侵襲的な手術など多くの困難が待ち受けています。

出来うる限りは、早期予防、早期発見に努めて発症や進行を未然に防ぐべきです。

 

まとめ

特に脂肪肝は症状に乏しく発見が難しいため、早期発見のためには定期的な肝機能検査が非常に重要です。

 

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