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保険の受取人や被保険者が認知症に!どうすればいい?対処法を解説

生命保険の保険金受取人や、医療保険の被保険者が認知症になると、保険金や給付金の請求が難しくなることをご存じでしょうか。

 

生命保険や医療保険は、不測の事態が起こったときにお金を受け取るために加入するものです。せっかく加入して保険料を支払っていても、必要なときにお金を受け取れないと、本人や家族が生活に困ってしまうかもしれません。

 

保険金や給付金が請求できない事態を避けるためには、健在なうちに対策をしておくことが重要です。

 

そこで今回は、保険金受取人や被保険者が認知症になると保険金の請求が難しくなる理由や、いまからできる対処方法を解説します

受取人や被保険者が認知症になると保険金の請求は困難に!

認知症によって他人と意思疎通を図るのが難しくなると、本人の意思を確認できなくなります。よって民法上、認知症患者はすべての法律行為が無効になります。

 

そのため認知症になった人は、保険金や給付金を請求できません。また、預貯金の引き出しや自宅の売却などもできなくなります。

 

例えば、契約者と被保険者が夫、保険金受取人が妻である生命保険に加入していたとしましょう。子どもはいますが、すでに独立しており夫婦とは離れて暮らしています。

この場合、先に妻が認知症になると、夫が亡くなったとき妻は死亡保険金を請求できません。離れて暮らす子どもが保険金を請求しても、認められないでしょう。

 

このような状況になったとき、子どもが保険金を受け取る方法が2つあります。

1つは「成年後見人」に請求してもらう方法。もう1つは、配偶者が亡くなったあとに相続人である子どもが請求をする方法です。

 

成年後見人は保険金の請求が可能

成年後見人制度とは、認知症をはじめとした理由で判断能力が不十分な人の財産管理や契約などを支援する国の制度です。

 

家族が認知症になった場合、子どもをはじめとした親族が申し立てをすると、家庭裁判所によって成年後見人が選ばれます。成年後見人は、本人に代わって法的な手続きができるため、認知症になった家族の代わりに死亡保険金を請求できます。

 

家庭裁判所によって選ばれる成年後見人は、弁護士や司法書士などの専門家であるケースがほとんどです。また、専門職が成年後見人となる場合、毎月2〜6万円ほどの報酬を生涯にわたって支払い続けることになります。

 

成年後見人を利用しない場合は受取人が亡くなるのを待つことに

成年後見制度を利用しない場合、認知症となった人が亡くなったあとに相続人が死亡保険金を請求することになります。受け取った死亡保険金は、相続人同士で平等に分けることになり、特定の人が多く受け取ることは基本的にできません。

 

相続人が保険金を請求するときに注意したいのが「時効」です。保険金や給付金などを請求する権利には、3年の時効があります。

 

例えば、死亡保険金の受取人である妻が認知症になったあとに、被保険者である夫が亡くなったとしましょう。夫が亡くなった5年後に妻が亡くなった場合、遺産を相続した家族は、保険金を請求できないことがあります。

 

ただし保険会社によっては、手続きに必要な書類があれば、3年が経過したあとも保険金を請求できることがあります。保険金や給付金の請求権を相続したときは、保険会社に問い合わせてみましょう。

 

関連記事:「「生命保険の時効は3年」って本当?相続時の注意点を解説」

今からできる!受取人が認知症になる前にとるべき対策4選

 

認知症は、決して他人ごとではありません。

 

内閣府の資料によると、65歳以上の認知症患者の数は、2025年には約675万人、2040年には約802万人になると推計されています。

※出典:

内閣府「平成29年版高齢社会白書」

「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業)」

 

受取人や被保険者が認知症になってしまうと、家族ができることは非常に限られます。そのため、家族が健在なうちに対策をしておくことが大切です。ここでは、主な対策方法を4つ解説します。

 

1.受取人を子どもに変更する

生命保険の保険金受取人が配偶者となっている場合、あらかじめ子どもに変更しておく方法があります。契約者が受取人を子どもに変更することで、配偶者が認知症になったときに、保険金を請求しやすいでしょう。

 

ただし受取人を子どもに変更すると、死亡保険金は子どもに支払われるようになります。トラブルを防ぐためにも、受取人となっている配偶者とよく話し合ったうえで、受取人の変更手続きをしましょう。

 

2.指定代理請求制度を利用する

医療保険やがん保険などの被保険者が、給付金を請求する意思表示ができないときは「指定代理請求制度」を利用する方法があります。指定代理請求制度は、あらかじめ指定された代理人が、被保険者に代わって給付金を請求できる制度です。

 

例えば、医療保険の被保険者である夫が、認知症で病院に入院したとしましょう。指定代理請求人が妻になっている場合、夫に代わって妻が入院給付金を請求できます。

 

指定代理請求人は保険を契約するときに指定しますが、被保険者の同意を得られれば契約後でも指定が可能です。追加で保険料がかかることもないため、もしもの事態が起こったときに給付金が請求できるように、指定代理請求人を設定しておくと良いでしょう。

 

3.任意後見人を指定する

本人の意思能力が充分なうちに「任意後見人」を指定しておくのも方法です。信頼できる家族に財産の管理を任せられるだけでなく、後見人に対する報酬も必須ではありません。

 

ただし任意後見人は、使いみちが不明なお金が生じないように、家庭裁判所または後見監督人(弁護士や司法書士など)に、財産目録や収支状況などの報告が必要です。また、任意後見監督人に月額1万〜2万円程度の報酬を支払うことになります。

 

4.家族信託を利用する

家族信託は、本人が所有する預貯金や不動産などの資産を、信頼できる家族に託して管理や処分を任せる方法です。財産の管理を任された人は、保険金の請求だけでなく認知症になった本人の代わりに預貯金口座からお金を引き出したり、自宅を売却したりもできます。

 

また、親から子ども、子どもから孫など、数世代先の財産の引き継ぎ方を指定できるという遺言書にはない機能があるのも家族信託の良い点です。家族信託を活用することで、相続に関するあらゆるトラブルを防ぎやすくなります。

 

 

健康なうちに認知症・介護リスクに備えよう

保険の被保険者や受取人が認知症になると、保険金の請求が困難になり、せっかくの保険金を速やかに受け取ることが難しくなります。

 

家族が健在であれば、さまざまな方法で認知症対策が可能です。契約している保険の種類や家族の希望などを踏まえて、ご家族に適した事前対策をしておきましょう。

 

 

 

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