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知らないと損!「後期高齢者の負担割合が増加」これって現役世代には関係ない話なの?

2021年に国民負担率が過去最高の48.1%を記録するなど、日本国民にかかる医療費に関する話題は尽きません。

こうした話題は特に若者への負担増に注目されがちですが、近年75歳以上の後期高齢者の医療費自己負担率が上がりつつあることはご存じでしょうか。

 

2022年、後期高齢者の医療費自己負担率が一部変更になりました。

いよいよ現役世代で公的保険を支えきれない時代の到来を感じさせられる中、後期高齢者の医療負担増は現役世代にどのような影響を与えるのでしょうか。

 

今回は後期高齢者の医療費負担増がもたらす現役世代への影響について解説します。

後期高齢者の医療費自己負担割合が2割に上がる?

 

2022年10月1日より、一部の後期高齢者の医療費自己負担が1割から2割へと変更になりました。

 

従来は75歳以上の後期高齢者の自己負担は原則1割であり、同世代の被保険者の中に現役並みの所得の方がいる場合に限り3割負担となっていましたが、この改正により「収入はあるけれど現役並みではない」という中間層が判定対象となっています。

 

医療費自己負担が1割から2割に変更となる条件は、

  • 同世帯の被保険者の中に住民税課税所得が28万円以上145万円未満の方がいる(住民税課税所得が145万円以上の世帯は「現役並み」とされ3割負担)
  • 同世帯の被保険者の年金+その他の所得の合計が、被保険者が1名なら200万円以上、被保険者2名以上なら合計320万円以上

となっており、この改正によって影響を受けるのは被保険者である後期高齢者全体の約2割程度であるといわれています。

 

 

2025年9月30日までは軽減措置あり:

なお、2022年10月1日からすでに前述の対象者の医療費自己負担増は始まっていますが、2025年9月30日までの3年間に限り、対象の医療費自己負担増加の上限を月3,000円までとする軽減措置が設けられています。

 

仮に医療の増加額が5,000円だったなら、上限である3,000円を超えた分は高額療養費として後日指定の口座に還付される仕組みとなっています。

 

 

なぜ後期高齢者の医療費自己負担割合が増やされる?

 

後期高齢者の医療費自己負担に見直しが入った背景には、この先に向かえる後期高齢者の爆発的な増加があります。

 

第一次ベビーブームである1947年~1949年に生まれた世代は「団塊世代」と呼ばれています。

他の世代よりも人口が多い団塊世代は2022年~2024年にかけて後期高齢者である75歳を迎え、医療制度に大きな負担がかかり始めるといわれています。

 

現在、後期高齢者にかかる医療費の内訳は、全体の約4割が税金から、4割が現役世代の保険料が使われており、被保険者が納めた保険料が占めるは約2割程度です。

 

しかし、今後団塊世代が後期高齢者となり、彼らからの税収や納付される保険料が減少すれば、財源を現役世代の保険料に頼らざるを得なくなるでしょう。

将来的には現役世代の保険料率の引き上げが行われるのも時間の問題と考えられています。

 

そうした現役世代へのしわ寄せを少しでも軽減できるよう、少しでも後期高齢者の自己負担を増やし、現役世代の負担増加を少しでも遅らせようという狙いがあると考えられます。

 

 

現役世代の負担増は避けられない?:

厚生労働省が発表した「令和2年度国民医療費の概況」によれば、75歳以降一人あたりに90.2万円の医療費がかかっており、65歳未満の18.35万円の約5倍であることがわかりました。

2022年以降に団塊世代が後期高齢者となれば、75歳以上全体にかかる国民医療費の増加はさらに加速していくでしょう。

 

こうした医療費の増加を吸収するための2割負担枠の追加ですが、前述の通り自己負担が2割に増える後期高齢者は2割程度に留まります。

この改正だけでは増加する医療費を吸収できず、早晩現役世代にしわ寄せがいくのは想像に難くありません。

 

また、保険制度の見直しは現役世代の自己負担割合の増加や保険料負担の増額だけで終わらず、公的年金保険料の負担増加や公的年金受給額の減額への波及も十分に考えられます。

残念ながら医療保険や年金制度における現役世代の“待遇改善”は期待が薄く、逆に“待遇改悪”の可能性が否めない中、その背景からはより一層の自助努力の必要性を求められていると言わざるを得ません。

 

 

まとめ

いよいよ後期高齢者の医療費に見直しが入り、全世代で自己負担額が増す方向に調整がされはじめました。しかし団塊世代の後期高齢者化に伴う医療費の増加に対する十分な備えとはいえず、現役世代の負担増は避けられないと考えられます。

 

この状況は、現役世代が高齢者になる頃に改善される保証がないどころか、さらに負担が増し続けることすら予測されています。

後期高齢者の負担増が限定的に留まり、社会保障制度そのものへの期待が薄まり続ける中、現役世代にはさらに家族全員が十分な医療行為を受けられる環境を作る自助努力の重要性が増すと考えられます。

 

政府は現代の社会保障制度を、全ての世代が能力に応じて支え合いライフステージごとに必要な保障を受けられる「全世代型社会保障」と謳っています。

 

しかし、実態は負担と保障のバランスが取れておらず、現役世代への負荷が強まるという問題を抱えています。理想的な制度という目標を掲げた全世代型社会保障は、どのような問題を抱えているのでしょうか。

ぜひ続けてこちらのコラムをご覧いただき「全世代型社会保障が抱える4つの問題点」をご確認ください。

 

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