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教えて!生命保険の「免責」とは?どんなときに受け取れない?

生命保険契約には「免責事由」があることをご存じの方も多いと思います。

 

一方で、「どんなケースが免責に該当するのか?」を、よく確認していないという方が意外に多くいらっしゃるのは心配です。

皆さんは、ご自身の契約について「免責事由をしっかりと把握している」と言い切れるでしょか?

 

今回の記事は、免責事由の紹介と、そもそも「なぜ免責になるのか?」について解説します。

生命保険の「支払事由」と「免責事由」とは?

 

生命保険には、支払事由と免責事由という2つの反対語があります。

 

支払事由とは、「保険会社が保険金を支払わなくてはならない理由」のことを言います。

例えば、約款に「死亡もしくは高度障害状態の場合に保険金を支払う」と記載されている場合、保険会社は保険金を支払わなければなりません。

 

一方、免責事由とは、「保険会社が保険金の支払いを免れる理由」のことを言います。

例えば、約款に自殺による免責期間を1年とする旨の記載がある場合、契約後7カ月の時点で起きてしまった自殺については、保険金は支払われません。

 

自殺以外にも免責事由とされる事項があります。
いずれも、契約時に手交される「注意喚起情報」や「契約のしおり」に概要が示されており、「約款」に明記されていますが、皆さんはこれらの重要事項説明書類に記載された免責事由を記憶されているでしょうか?

 

続けて、具体的な事例を示しながら解説します。

 

 

死亡保険金が受け取れないときの免責事由

 

具体的にどのようなケースで免責となるのか、事例を通じて紹介します。

 

 

  • 免責事由① 生命保険加入後3年以内の自殺

 

保険会社や保険商品によっても異なりますが、一般的には「加入後3年以内」が免責の対象となっています。

かつては「1年以内」とする会社が一般的でしたが、日本社会全体の自殺者数が増えたことや保険金目的の自殺を抑制するために、現在は「3年」とする保険会社が多くなった経緯があります。

 

 

  • 免責事由② 保険金受取人による故意の殺人

 

被保険者が契約者または受取人によって故意に殺害された場合は免責に該当します。

 

従前より保険金殺人等を抑制するために設けられているものですが、最近は事件の内容が高度化し、受取人本人が直接手を下さないケースが増えてきたことで、保険会社側の対応もアップデートが求められ、現在は受取人と殺害者の利害関係が認められれば免責が適用されるようになっています。

 

 

  • 免責事由③ 法律違反に該当する事故

 

例えば飲酒運転や無免許運転といった法律違反に該当する行為によって引き起こされた死亡事故の場合、「災害死亡保険金(災害時に上乗せされる保険金)」については免責になります。

 

たとえば、普通死亡保険金が2000万円、災害割増特約(不慮の事故による死亡や高度障害時に割増保険金が支払われる特約)」が1000万円であった場合、2000万円は支払われますが、1000万円は免責事由に該当するため支払われません。

 

 

法律違反等の故意や重大な過失に対して免責とする理由は2つ考えられます。

 

ひとつは保険の原理原則に基づくもので、公平性の原則によって保険数理を脅かす契約を排除するために「免責」とされているものです。

もう一つは、損害保険会社の約款においても同じく「免責」とされているように、社会通念に照らしたものと考えられます。

 

例えば、泥酔状態の運転手が歩行者を跳ねて死亡させ、運転手も同時に死亡した場合でも、その運転を「不慮の事故」とみなして上乗せされる保険金があるのは、社会的に受け入れられないのではないでしょうか?
生命保険事業は、社会性・公共性の高い事業とされている中、当然の判断と言えるかもしれません。

 

 

自然災害や戦争で死亡した場合について

 

近年、大規模な自然災害が頻発し、またテロや戦争のニュースに触れることも多くなり、予期せぬ事象により死亡と向き合うことが増えました。

本来、地震や噴火、津波などの天災による死亡は、被害の規模が甚大となる可能性があり、保険数理の基礎に重大な影響を与えかねないとの考えにより、災害死亡保険金の免責事由に該当します。(普通死亡保険金は支払い対象)

 

ところが、実際には大規模な自然災害であったとしても保険金が支払われていることをご存じの方も多いのではないでしょうか?

 

2011年の東日本大震災や2016年熊本地震の際は、実際に全額が支払われていますが、これは生命保険協会が主体となって、社会通念に照らし、事業の社会公共性に基づき、約款の記載事項とは異なる判断を下しているものです。
従って、損害額の状況等によりその都度判断されていることなので、今後も同様に支払われるかどうかは不明だとお考えください。

 

一方、同じく原則として免責となっている戦争やテロなどの紛争については、各社の取り扱いが異なっていることから、自然災害等と同様であろうと推測するのは避けた方が良いかもしれません。

 

 

死亡時以外の保険金が支払われない免責事由

 

ここからは、死亡以外の免責事由を紹介します。

 

 

① 免責期間

 

がん保険には「免責期間」と呼ばれる90日間の待機期間があり、この間にがんと診断されても保険金は支払われません。

がんは発病しても自覚症状がないケースが多いため、免責期間がないと契約の公平性を保つことができないという理由で免責期間が設けられています。

 

 

② 告知義務違反

 

生命保険に加入する際、被保険者は自分自身の健康状態について告知をする義務があります。

しかし、故意または重大な過失により、虚偽の告知がなされていた場合は「告知義務違反」とみなされ、保険金や給付金支払の免責事由となります。

 

詳しくはこちらの記事をご確認ください。

 

おすすめの記事:教えて!告知義務違反の重大な過失とは?

 

 

まとめ

今回の記事では、生命保険の免責事由について解説させて頂きました。

 

改めてご自身の契約を確認しておきたいとお考えになった方も多いのではないでしょうか?
生命保険の場合、受け取れるか受け取れないかの違いが「数千万円」もの差となる場合もあるので、くれぐれも“後の祭り”となって払い続けた保険料が“ムダ”にならないように、「心配だ」と思われた方はすぐにでもチェックしておかれることをおすすめします。

 

保険料が“ムダ”になるかもしれない話と言えば、今回ご紹介した「免責」以外にも保険金や給付金を受け取れないケースがあることをご存じでしょうか?

こちらの記事では、「受け取れない事態を防ぐために必要な知識」について解説しています。

 

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そもそも、保険金や給付金を受け取れないことなんてあるの?

 

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