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教えて!受取人は誰でもいいの?身寄りが居ない場合等はどうすればいいの?

生命保険の死亡保険金は固有の財産権が認められていることもあり、「受取人」の指定には気を遣うところです。


中には、税制面のことなども考慮しながら慎重に選定している方も多いのではないでしょうか?

 

一方で、家族構成などの影響もあり、保険会社が推奨する範囲(例:1親等、2親等内など)で決めることが難しい場合もあるかと思いますが、このようなケースに活用できるいくつかの対応方法があることをご存じでしょうか?

 

今回は、そうしたお悩みを抱えている方におすすめの対策について解説します。

「受取人」の考え方や税制面で踏まえておきたいことについて知りたい

 

皆さんは、どのようにして受取人を決めましたか?

もしかして、契約時の様々な書面へのサインなどに追われる中で、「とりあえず」という形で決めたままになってはいないでしょうか?

 

生命保険の保険金は、場合によっては数千万円に設定されている場合もあり、様々な個人の思惑が絡むケースも想定されます。

 

この“名義問題”にはいろいろなケースでトラブルも発生していますが、以下の順番で認識を深めておくのが賢明です。

 

  • ①まず、自分自身の考えを整理する。
  • ②次に、他者のトラブル事例を確認し、自身に置き換えて再考する。
  • ③そして、その考え通りに指定することが可能なのかを確認する。
  • ④税制面からも問題が無いかを確認する。
  • ⑤上記では解決しない悩みが発生する場合は専門家を頼る

 

このうち、①~④については、まずこちらの記事をご覧いただくことをおすすめします。

 

おすすめの記事:教えて!ややこしい、こんなとき受取人は誰にすればいい?

 

 

こちらの記事では、以下についてご確認いただけます。

 

  • 受取人には誰でも指定できるのか?(受取人に関する基本的な知識)
  • 内縁や事実婚関係にあるパートナー、婚約者でも指定できるのか?
  • ライフステージが変化(乾坤、離婚、死別等)する際に気をつけることは?
  • 受取人の変更に関してよくあるトラブルとは?
  • 保険金にかかる税金は?税制面で気をつけることは?

 

 

受取人を複数指定したい場合は?

 

保険金の受取人を複数人指定することは可能です。

 

例えば子供が2人いる場合、両方の子供を指定することができます。

 

また、受取人を複数にして非課税枠を利用し、相続税を軽減するケースも少なくないのではないでしょうか?

 

受取人を複数指定する場合は下記のような注意点があります。

 

 

■ 金額が平等にならないケース

 

それぞれの受取人が受け取る金額は事前に決められた割合で決まるため、人によって金額が異なる可能性があります。

 

 

■ 受取が遅れるケース

 

複数の受取人の足並みが揃わないと受取の手続きができないため、受取時期が遅れる可能性があります。

 

 

■ 保険会社によって対応が異なるケース

 

受取人の複数指定は多くの保険会社で対応可能ですが、入金方法など細かな内容は保険会社によって異なります。

 

手続きの際には必ず各保険会社に問い合わせるようにしましょう。

 

 

受取人を「法定相続人」としておくことは可能?

 

本来、受取人は保険会社が推奨する範囲(例:1親等、2親等内など)で決めることが望ましいですが、生命保険会社によっては「法定相続人」を受取人として申し込むことができます。

 

その場合、死亡保険金を法定相続分にて均等に分割することが一般的です。

 

受取人を指定する事が難しいケースなどでよく見られるパターンです。

 

受取人が指定されているわけではないので、想定外の人に保険金が渡ってしまうなど、スムーズな受取、相続がなされない可能性もあり注意が必要です。

 

 

2親等以内の家族がいない場合は?

 

配偶者や2親等以内の血族のほか、事実婚・内縁関係や同性パートナーもいない場合、保険会社の判断で以下のような人が受取人になれる場合があります。

 

 

■その他の親族

 

配偶者も2親等以内の血族もいない場合、その他の親族を受取人として指定できる場合があります。

ただし、経済上・生活上の結びつきがあった(どちらかが経済的に支援していたとか、同居していたなど)ことなどを条件とするケースが多いようです。

 

 

■特別縁故者

 

特別縁故者とは、法定相続人がいない場合に、手続きをすることで相続財産を受け取る権利を得られる立場の人をいいます。

 

具体的には以下のような人物を指します。

 

  • 亡くなった人と生計をともにしていた人
  • 亡くなった人の療養看護に努めた人
  • 亡くなった人と特別な縁故があった人

 

事実婚・内縁関係や同性パートナーもこれにあたりますが、身よりのない人が入居していた福祉施設の運営法人が特別縁故者と認められるケースなどもあります。

 

 

特別に深い関係がある第三者を指定することはできる?

 

特別に深い関係がある第三者を受取人に指定することも保険会社によっては可能です。

 

具体的には、内縁関係や婚約者などの第三者を受取人に指定できます。

取扱いがある場合は、下記の3点を主な条件としているのが一般的です。

 

  • (1)双方に戸籍上の配偶者がいないこと
  • (2)同居を始めてからすでに一定期間が過ぎていること
  • (3)生計を一定期間共にしていること

 

上記の関係性を証明するために、お互いの戸籍、住民票、社会保険の関係書類などを保険会社に提出する、もしくは家庭訪問などの調査によって家族であることの実態を証明する必要があります。

 

 

受取人が先に死亡した場合は?

 

受取人になれる人が自分より先に亡くなった場合、受取人の相続人が保険金を受け取る権利を継承します。

 

例えば、子どものいない夫婦の夫が妻の死亡後、名義変更を行わないままに被保険者である夫が死亡した場合、その保険金の受取人は「妻の法廷相続人」となります。

 

妻を亡くした夫が、自身が遺す保険金は親や兄弟に受け取ってほしいと考えていた場合でも、実際には妻の親や兄弟姉妹が保険金を手にすることになるので、これを回避したい場合は、速やかに意図した保険金受取人に名義を変更しておくのが得策です。

 

また、受取人が死亡していて、その法定相続人もいない場合には、亡くなった人の財産は最終的に国庫に帰属します。

 

裁判所が選定した相続財産管理人が、亡くなった人の財産を整理したのち、国庫に入れる手続きが執られます。

 

 

受取人を遺言で指定することはできる?

 

生命保険の受取人は、保険契約者と保険会社の合意によって変更でき、変更前の受取人の承諾は不要です。

 

また、契約者の残した遺言によって受取人を変更することも認められています。

 

遺言で受取人を指定する場合も、受取人になれる人の範囲は変わりません。

 

つまり、配偶者ならびに2親等以内の血族である親族が原則ですが、保険会社によっては第三者を認めているケースもあります。

 

遺言による受取人変更には、下記のようないくつかの注意点があります。

 

 

■変更前の受取人に保険金が支払われる

 

保険契約者の相続人が受取人変更の通知をしなければ、新受取人は保険会社に対して、受取人変更の旨を対抗できません。

 

相続人から保険会社への通知が遅れる、もしくは拒否すると、保険会社が変更前の受取人に対して保険金を支払ってしまい、新旧受取人の間で訴訟などのトラブルに発展する可能性もあります。

 

生命保険の受取人を変更する旨の遺言書を発見したら、速やかに保険会社に対して、受取人変更通知を行いましょう。

 

 

■遺言書の無効が争われる

 

生命保険金の受取人を変更する内容を含む遺言書自体について、旧受取人などから無効主張が行われる可能性もあります。

 

民法上、法定の形式要件を欠く遺言書は無効です。

さらに、文言の不明確さ・偽造・変造・遺言能力の欠如など、遺言無効を主張するための根拠には、さまざまなパターンが考えられます。

 

遺言での受取人変更を行う場合は、法定の形式要件に則って、正確に遺言書を書きましょう。

 

 

「生命保険信託」って、どんなときに活用するの?

 

生命保険信託とは、信託銀行等が生命保険の保険金受取人となり、万が一の時に、死亡保険金を受け取り、保険契約者が生前に定めたご親族等に、あらかじめ決められた方法で、受け取った保険金により金銭が支払われる仕組みです。

 

また、信託銀行等が管理する財産の一部払出しや支払条件の変更等を行う[指図権者]を併せて決めておくことができ、より安心して利用することができます。

 

具体的な下記のようなケースで活用されているようです。

 

 

■障害者、認知症、要介護状態の相続人(子どもや親など)がいるケース

 

受取人の保険金管理能力が乏しいと判断される場合が最も多いケースになります。

 

「月10万円ずつを養育費や生活費に充当してほしい」などの指定がイメージですが、受託会社は契約者から指定されたとおりに運用することになるので、逆に臨機応変な対応ができないことも含んでおく必要があります。

 

 

■事実婚の配偶者と子どもがいるケース

 

価値観の多様化に伴い柔軟性を求められる中で、生命保険会社各社も第三者を受取人にできる商品が増えつつありますが、事実婚の配偶者や子どもを受取人する場合は、生命保険信託を活用するケースも多いようです。

 

 

まとめ

今回の記事は、保険会社が一般に推奨する受取人には収まらないケースへの対応方法について解説しました。

 

想いを持って遺す「死亡保険金」が、本人の意思が反映される形で「受取人」に届けられるためには、その対策について知っておく必要があります。

 

今回の解説に記載が無かったケースでも、最近では多様な価値観、ニーズに合わせた対応を行う保険会社も増えているので、諦めずに照会してみることをおすすめします。

 

なお、生命保険の受取人に関する様々な問題についてさらに詳しく知りたいと思われる方には、下方の「関連するおすすめ記事」をおすすめします。

 

また、ご自身の契約を確認したいとお考えになった方には、あわせてこちらのメニューのご活用をおすすめします。
ご加入内容のセルフチェックをサポートする動画やチェックシートを、ぜひご活用ください。

 

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