先進医療とは“ファストパス”=健康保険の仲間入りをするための待機状態
「先進医療」という言葉には、どのようなイメージがありますか?
先進という言葉の通り、最新の治療で治療効果が高い感じがしますよね。どうせ医療を受けるなら「治療効果の高いものを受けたい」とは、誰もが思うこと。
でも、実際はどうなのでしょうか?
先進医療とはどんな医療?
私たちが医療を受ける場合、大半は保険診療で、年齢等によって定められた自己負担額を支払っています。
一方先進医療は、厚生労働省が定める高度の医療技術で、ある程度の治療効果と安全性は認められているものの、現時点では公的医療保険の対象外となっている治療法です。先進医療にかかる費用は医療の種類や医療機関によって異なりますが、全額自己負担となります。
もちろん、今後安全性や有効性が認めれれば公的医療保険給付の対象になる可能性がある医療でもあります。
先進医療はさらに「先進医療A」「先進医療B」に分類されており、AのほうがBよりも保健診療になる可能性が高い医療となっています。
ここでもう一つ大事なことは、先進医療は希望したら誰でも受けられるというわけではなく、医師による治療の必要性と合理性が認められた人が対象となることです。医師の説明を受け、納得した上で同意書に署名をする必要があります。
先進医療にはどんなものがある?
厚生労働省によると、令和4年5月1日現在、先進医療になっているものは86種類あります。そのうち先進医療Aは26種類、先進医療Bは60種類です。
先進治療としてよく聞く治療法に「陽子線治療」と「重粒子線治療」があります。これはがんに対する治療法で、どちらも実施件数が多く、先進医療Aに該当します。
がんに使用される放射線は粒子線と光子線の2つに分けられます。現在、保険診療の対象となっている「放射線治療」は光子線を用いるため照射範囲が広くなり、がん以外の部分に影響が出る可能性があるといわれています。「がんの放射線治療による皮膚の変化や貧血」などといった副反応が考えられる、ということです。
一方の陽子線治療と重粒子線治療の2つの治療は、粒子線を用いた治療法です。ピンポイントでがんに照射できるため、照射回数が少なく体への負担も少ないという特徴があります。
これだけ聞くと、先進医療のほうにメリットがあるように思いますが、安全性と有効性が十分に確立されているわけではありません。その点は理解しておく必要があります。
また、治療法の呼び方が違うのは、同じ「粒子線」でも「陽子線」を使うものが陽子線治療、「重粒子線」を使うものが重粒子線治療であり、いずれも非常に大きな設備が必要なため、どこの病院でも受けられる治療ではありません。
実際のところとしては、最初から先進治療を選択するのではなく、保険診療の治療を行ったあとのさらなる治療法として先進治療を選択する人が多いようです。
先進医療の最大のデメリット
保険診療の治療だけでなく、先進医療という新たな治療法が増えることは喜ばしいことではありますが、先進医療にはデメリットが2つあります。先進医療を受ける人が少ない理由にもこれが関係しているのかもしれません。
費用が高い
保険診療と先進医療では医療費にかなりの差が出てきます。先進医療では最新の設備や機器を使用していることが多く、費用も高くなります。先進医療は保険適用外なので、全額自己負担となります。
先進医療を受けられる医療機関の数
先進医療を受けられる医療機関は、全体の数から考えるととても少ないです。「近所の病院で受けられる治療」ではないのです。
厚生労働省のホームページに「先進医療を実施している医療機関の一覧」が記載されていますが、2022年6月現在、先ほど例に挙げた「陽子線治療」を行っている医療機関は全国に19か所、「重粒子線治療」は6か所しかありません。
まとめ:先進医療のデメリットはがん保険や医療保険で克服できる?
先進医療の高額な費用の助けになるものに、保険の加入があります。がん保険や医療保険のなかに、「先進医療特約」を付加できる保険があるのをご存知でしょうか。この保険をつけていれば、先進医療を受けたときに保険金が給付されます。
ただし保障の対象は、治療を受けたときに先進医療として認められているものです。先進医療から外れている場合には対象外となります。先進医療の種類は変動しますので、申請の際にはしっかり確認する必要があります。
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